「アイサツ」「カンジョウ(勘定)」「マゼマゼ(混ぜ混ぜ)」―台湾で今も使われている日本語の一部だ。戦後64年を経ても、台湾では日本文化が息づいている
台北に住む日本人の旅行作家、片倉佳史さん(40)が、島内各地で拾い集めた台湾語など地元の言葉になった日本語を紹介した『台湾に生きている「日本」』(祥伝社新書)を読むと、その豊富さに改めて驚かされる
台湾の親日家として知られる蔡焜燦(さいこんさん)さん(82)は、昭和10年に小学校で使った神話や唱歌を載せた副読本を私費で復刻し、日本人に配っている。台北で会った蔡さんに「皇后さまの誕生日を言えますか」と問われ、詰まってしまった
そんな台湾も親中国の馬英九・国民党政権が誕生してから、徐々に状況が変化している。最近、日本の対台湾窓口機関の台北駐在代表(大使)が「台湾の国際的地位は未定」と語ったことがもとで当局から嫌われ、辞任に追い込まれた
馬政権は昇竜・中国との経済協力枠組み協定の調印を目指すなど、大陸へ大陸へとなびいている。台湾の親日家が肩身の狭い思いをする日が、再び来るのかもしれない。
12月21日付 編集手帳 読売新聞
創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge