4.16.2010

「完成予想図」改革の魂を携えてこそ、新党は意義をもつ・・・ 編集手帳 八葉蓮華

 室町時代の歌謡集『閑吟集』に、〈昨日は今日のいにしへ 今日は明日の昔〉とある。いつの世も日々の出来事は、「いにしへ」の彼方(かなた)へ足早に去っていく。とはいうものの、である

 一寸(ちょっと)前なら憶(おぼ)えちゃいるが/一年前だとチトわからねエなあ…ダウン・タウン・ブギウギ・バンドは『港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ』で歌ったが、自民党が惨敗を喫した衆院選からは、まだ1年もたっていない

 自民党からの離党組を軸に、週内にも、新党が結成されるという。敗因を憶えていますか? 誕生間近の新党に問うてみる

 税金を無駄にしない、カネにきれい、官僚の尻に敷かれない――民主党の提示した政権「完成予想図」に有権者が賛同し、自民党は敗れた。鳩山政権の不人気は「実景」が約束の完成予想図と違うからであり、図面そのものを世間が見限ったわけではない。民主党が持て余す完成予想図を横取りし、お株を奪う改革の魂を携えてこそ、新党は意義をもつ。その気概はありや

 歌のつづき、―どこへ行ったか知らねエなあ…と、あとで有権者が首をひねるような新党にならぬよう、用心が要る。

◆4月9日付 編集手帳 読売新聞
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