おそらく7歳と5歳の姉弟(きょうだい)だろう。社殿を背景に親が構えるカメラに向かい、並んでポーズを取っている。小さな弟が爪先(つまさき)立ちをして、懸命にお姉ちゃんの身長に追いつこうとしているのが可笑(おか)しい
近所の八幡様で見た光景である。今年の本番15日は日曜とあって、境内は着飾った親子で一杯になるに違いない。背伸びなどせずとも見る見るうちに大きくなるよ、あわてずに可愛(かわい)いままでいておくれ…と複雑な心境で親はシャッターを押すのだろう
3歳の「髪置(かみおき)」、5歳の「袴着(はかまぎ)」、7歳の「帯解(おびとき)」と呼ばれる成長の祝いが七五三の起源の一つとされている。傍目(はため)からも明るく育つ子供たちを眺める気分はいいものだ。〈行きずりのよそのよき子の七五三 富安風生〉
一方で、晴れ着をまとってこの時を祝える家族の比率はどれくらいか、とも考えてしまう。東京など大都市圏を中心に保育所が不足し、髪を振り乱して子育てと格闘する親も増えている
七五三どころではない、という家庭の方がむしろ多いのかも知れない。境内にあふれる歓声の主が、若い親とその子たちの典型であるなら良いのだけれど。
11月15日付 編集手帳 読売新聞
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