今年は1993年と似ている点が多いようだ。16年前も日米で政権交代があった。日本では自民党から細川連立内閣に、米国でも共和党から民主党に政権が移った。夏は日照不足の冷夏。政府が6月に景気底打ちを宣言したのも同じだ
底打ちの実感の乏しさも同様で、翌94年の流行語大賞で入賞した経済用語は「就職氷河期」と「価格破壊」の二つ。世間は景気の肌寒さを感じていたのに、政治の感度が鈍く、その後の大不況を防げなかった
今年は戦後最悪の失業率と2%を超える物価下落が、デフレ警報を発している。新旧政権には、経済政策のバトンを上手につないでほしいが、ぎくしゃくしている
総選挙の敗北後、現職3閣僚が金融や通商交渉の重要な国際会議を欠席した。最後まで全力で走らず、バトンを放り投げるチームを有権者は次も選びたくないと思わないか。これから走る新政権は、やっと閣僚の顔ぶれが固まってきたが、しっかり助走してバトンを受け取らないと、政策がスピードダウンしそうで心配だ
日本陸上チームの流れるようなバトンパスは無理でも、せめて落とさないで、と祈る。
9月6日付 編集手帳 読売新聞
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