西條八十が美空ひばりさんのために書いた「江戸っ子寿司(ずし)」の4番は、朝の買い出しを歌う。〈いそぐ魚河岸 霧の中 その海老(えび) ゲタメで売らねえか…〉。下駄(げた)の穴三つを目にたとえ、「ゲタメ」は3のつく数字を指す符丁という
連立政権を語るとき、しばしば下駄が引き合いに出される。自公政権下の公明党はときに、(自民党に踏まれてもついていく)「下駄の雪」と揶揄(やゆ)され、「われわれは下駄の雪ではなく鼻緒だ」と抗弁したこともある
鳩山次期政権の基盤を固めるべく、民主、社民、国民新、“ゲタメ”3党の連立協議が大詰めを迎えている
衆院選の獲得議席は民主308に対し、社民7、国民新3である。少数会派の両党が「雪」では気の毒だが、さりとて外交や安全保障といった基本政策をも左右する「鼻緒」になるようなら、有権者の示した民意にそむくことになろう。鳩山さんの下駄の履きようを見守るとする
下駄が民主党ならば、草鞋(わらじ)は自民党である。政権に別れを告げ、野党の「草鞋を履く=旅に出る」刻限は迫れども、先導する人の影さえ見えてこない。旅の前途が案じられる。
9月9日付 編集手帳 読売新聞
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