“昭和の名人”、落語の六代目三遊亭円生さんは豊富な持ちネタで知られたが、火の番小屋を舞台にした噺(はなし)「二番煎(せん)じ」は高座に掛けなかったらしい
父親の五代目が得意にし、逸品と評された。「親父(おやじ)のを聴いたら、とてもやれるものじゃありません」。そう語っていたと、親交の深かった京(きょう)須偕充(すともみつ)さんが落語全集の解説に書いている
先人の優れた芸を身近に知る世代は怖くて手が出せない。若い世代は怖いもの知らずで手を出す。どの世界に限らず、若返りの効用とはそういうことだろう。先の衆院選を勝ち抜いた大量の新人議員がきょう、初登院する。恐れず、臆せず、国政の難問奇問に体当たりすればいい
ひどい例もある。4年前、小泉自民党が大勝した衆院選の初当選組には、「料亭に行ってみたい。給料は2500万円、議員宿舎は3LDKですよ」とはしゃいだ新人君もいた。自民党政権が全焼した火元をたどれば、そのあたりのマッチ1本の不始末に行き着くのかも知れない
民主党の小沢一郎新幹事長にはとくに火の番小屋でしっかり、いわゆる小沢チルドレンの火の用心にあたってもらおう。
9月16日付 編集手帳 読売新聞
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