6.28.2010

組織を“砂上の楼閣”に変えるのも人、チーム内の不協和音に怒り心頭・・・ 編集手帳 八葉蓮華

 英国の哲学者、フランシス・ベーコンの言葉にある。〈卵焼きを作るためだけであっても、家を燃やしかねないのが、極端な利己主義者の本性である〉と(岩波文庫『ベーコン随想集』)

 サッカーW杯のフランス代表に当てはめれば、「卵焼き」は監督以下、各人のメンツ、燃えた「家」はファンの夢と希望かも知れない。仏紙『レキップ』がチーム内の不協和音に怒り心頭に発した記事を掲載している

 いわく、〈エゴの塊であるドメネク監督と、そしてそれを上回ったエゴイストの選手たちを笑い飛ばそう〉(本紙特約)

 監督を侮辱した選手を仏サッカー連盟が追放したことが亀裂の始まりという。抗議する選手たちは練習をボイコットした。選手は監督に従わない。監督は監督で、「占星術で選手を選考した」などと奇矯な発言をする。練習拒否を非難する連盟は監督を信頼しているのかと思えば、すでに監督の後釜を決定済みという。何が何だか分からない

 人は石垣、人は城…というが、組織を“砂上の楼閣”に変えるのも人だろう。よその食卓ながら、火事場で調理した卵焼きの味は何ともほろ苦い。

 6月22日付 編集手帳 読売新聞
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