10.31.2009

タスクフォース、きっと難題に取り組んでいたのだろうけれど、説明しても分からん・・・ 編集手帳 八葉蓮華

 タスクフォースって何?とお子さんやお孫さんに聞かれて困っている人が結構いるのではないか。「ホースと付くから馬の名前だろうよ」などと頓珍漢なことを言っては、知ったかぶりを笑う落語「千早(ちはや)振る」の現代版になりますぞ

 前原国交相が日本航空の再建策を練らせているのが「JAL再生タスクフォース」。横文字も必要な時はあるが、これはやり過ぎに感じる。タスクフォースとは本来、軍事用語で機動部隊のことだ

 転じて「特別作業班」の意で使われるらしい。ならばそう呼ぶか、せめて「特命チーム」くらいにしてほしいものだ。わざわざ分かりにくい看板を掲げる理由は何だろう

 自公政権でも金融対策や外交問題でタスクフォースを名乗る組織が作られたことがある。きっと難題に取り組んでいたのだろうけれど、説明してもどうせ庶民には分からんでしょう、と端(はな)から煙(けむ)に巻かれているようだった。鳩山政権も変な所を継承する

 日航再建策の議論は大詰めを迎えているそうだ。銀行団の債権放棄やら退職社員の年金減額やら、複雑な事情が絡み合って、やはり難解なものになりそうである。

 10月25日付 編集手帳 読売新聞
創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge

10.30.2009

子ども派、子供派「こども」人の感性はいろいろ、多様で豊か・・・ 編集手帳 八葉蓮華

 漢字と仮名の使い分けには神経を使う。「臭い臭い」を「くさいにおい」と読んではもらえまいから、「におい」は仮名で書くことが多い

 「こども」「子ども」「子供」…新聞ではどれも用いるが、国民の祝日〈こどもの日〉を除き、小欄はもっぱら「子供」と表記してきた。しばし考え込むのは政府の打ち出した〈子ども手当〉を取り上げるときである

 「子ども」派には「供」の字から「お供」を連想し、大人の付属物とみなす差別意識を嫌う人も多いという。英文学者、柳瀬尚紀さんの著書に共感する一節があったので引く

 〈(差別だとは)…お笑いです。「子ども」では「ガキども」「野郎ども」「男ども」「女ども」を連想して、かえって子供に申し訳ない。ぼくはずっと「子供」で通しています〉(新潮社「日本語は天才である」)

 今年も「文字・活字文化の日」(10月27日)がめぐってくる。人の感性はいろいろで、表記をそろえる必要もない。悩むのも、考えるのも、多様で豊かな言語なればこそだろう。小欄は頑固な「子供」派でありつつ、“手当”に触れるときはそのつど悩むことにする。

 10月24日付 編集手帳 読売新聞
創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge

10.29.2009

「思いださないで」時計の針が前にすすむと「時間」後にすすむと「思い出」・・・ 編集手帳 八葉蓮華

 寺山修司の詩文集「思いださないで」のなかに、時計の一節がある。〈時計の針が/前にすすむと「時間」になります/後にすすむと「思い出」になります…〉。思えば人は、前後どちらにも針の動く時計を携えて人生を歩いている

 つらい出来事は「後にすすむ」針に託し、身は「前にすすむ」針に託す。振り向けば、耐えられそうになかった悲しみもいつしか歳月の彼方(かなた)に霞(かす)んでいる。針の動かない、壊れた時計をもつ人はどうすればいいだろう

 27年前にドイツで娘(当時14歳)をコロされたとして、フランス人の父親(74)が第三者に依頼し、ドイツ人の容疑者(74)を刑に服させるべくフランスへ誘拐したという

 容疑者はドイツでは証拠不十分で無罪となり、のちにパリの裁判所で被告人不在のまま過失致シ罪で禁固15年の刑を言い渡されている。フランスの警察に逮捕され、改めて法の裁きを受けることになるという。27年後の復讐(ふくしゅう)――そう報じられている

 誘拐も犯罪であり、父親の執念を称揚するつもりはない。ないが、47歳の人が74歳になるまで胸に抱いてきた「壊れた時計」には切ないものがある。

 10月23日付 編集手帳 読売新聞
創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge

10.28.2009

伝説的なベストセラー「挽歌」伝説や挿話、その人が過ぎゆく時代に奏でた・・・ 編集手帳 八葉蓮華

 蝋(ろう)を染みこませた原紙に鉄筆で文字を綴(つづ)るとき、「書く」とは言わず、ガリ版を「切る」という。経験のある方は一字一字「彫る」ような感触を覚えておられよう

 原田康子さんの小説「挽歌(ばんか)」は、ガリ版刷りの同人雑誌「北海文学」(北海道釧路市)に掲載された。東京で本になり、1957年(昭和32年)1年間で70万部を売る。石原慎太郎氏の「太陽の季節」が年間27万部であったことを思えば、伝説的なベストセラーというほかはない

 編集者が自宅に持ち帰った700枚ほどの原稿を、編集者の娘がむさぼるように読みふけり、父親よりも先に一晩で読了してしまった――という挿話も残る

 手もとの新潮文庫版は奥付に「五十九刷」とある。北海道の霧の街を舞台に切ない恋をした主人公・怜子がいまも作品のなかに生き続けている証しだろう。原田さんが81歳で亡くなった

 「切る」でなく、もはや「書く」でさえなく、文章はキーで「打つ」人が増えた。同人雑誌はときに“老人雑誌”と陰口をきかれるほど衰微が著しい。伝説や挿話がいまは、その人が過ぎゆく時代に奏でた挽歌のように思われる。

 10月22日付 編集手帳 読売新聞
創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge

10.27.2009

過去はなまけ者の幻「郵政改革」未来は馬鹿者の希望・・・ 編集手帳 八葉蓮華

 堀口大学の詩「現在教秘義」に、〈過去はなまけ者の幻だ/未来は馬鹿者の希望だ〉とある。郵政民営化も、過去と未来のせめぎ合いから始まっている

 推進派は反対派の主張を国営のぬるま湯に浸った〈なまけ者の幻〉と見、反対派は推進派の主張を未来はバラ色と信じて疑わない〈馬鹿者の希望〉と見た。どちらの主張が正しかったか――民営化からわずか2年余りの現在、答えはまだ出ていない

 答えは出ていないが、郵政解散・総選挙で示された「民でできる仕事は民で」という有権者の意思は今なお重いものがあろう。政府がきのう閣議決定した「郵政改革の基本方針」には、事実上の国営に逆戻りさせたい意向も見え隠れする

 国民の財産を二束三文でたたき売ろうとした「かんぽの宿」問題を顧みて、日本郵政・西川善文社長の辞任は当然である。経営者という“ハンドル”に不具合があったからといって、しかし、民営化という“自動車”まで解体する理由にはならない

 工夫と改良によって、民営化を〈賢者の希望〉に変えていくのが筋だろう。時計の針を〈なまけ者の幻〉に戻してはいけない。

 10月21日付 編集手帳 読売新聞
創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge

10.26.2009

テレビ番組のためだって「自作自演」世間の人々は安否に気をもみ・・・ 編集手帳 八葉蓮華

 〈もし「バカ!」という言葉が差別用語になったら、あたしは、さっさと放送作家をやめるわ〉。いまは亡き向田邦子さんが「向田邦子シナリオ集5 寺内貫太郎一家」(岩波現代文庫)の巻末対談で語っている

 「どしどし使いなさい」と子供たちに推奨できる言葉ではないとしても、人をののしる用語にしては感情があとに尾を引かない“軽さ”があり、ときに情愛をこめて用いることもできて、応用範囲の広い言葉ではある

 向田さんのみならず、使用禁止になったら困るのは小欄も同じで、きょうは海の向こうにその言葉をつぶやいている

 米コロラド州で、気球に乗って行方不明になったかと心配された6歳の男児が自宅で発見された騒ぎは、両親の「自作自演」と分かった。騒動をテレビ局に売り込む計画だったという。両親は報道機関の取材に狂言を否定したが、男児が「テレビ番組のためだって言ったじゃない」と口をすべらせ、露見した。州軍のヘリが緊急出動し、空港は航空機の離陸を一時中断し、世間の人々は安否に気をもみ…

 溜(た)め息と、あの二文字のほかに、両親に贈るものは何があろう。

 10月20日付 編集手帳 読売新聞
創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge

10.25.2009

トーマス・エジソンの電球発明から130周年「天才は1%のひらめきと99%の汗」・・・ 編集手帳 八葉蓮華

 「天才は1%のひらめきと99%の汗」は、発明王だった米国のトーマス・エジソンの名言である。「失敗すればするほど成功に近づいている」と達観できたのも、偉人だからだろう

 1884年(明治17年)、米フィラデルフィアで開かれた電気博覧会を訪れ、憧(あこが)れのエジソンに会った日本の若き技術者がいた。のちに東芝の母体となった「白熱舎」を創設した藤岡市助である

 藤岡はエジソンから、電気器具の国産化を勧められたという。失敗を重ねた末、藤岡と仲間が日本で初めて、白熱電球の試作に成功したのは、その5年後だ。エジソンが日本産の竹をフィラメントに使った白熱電球を1879年に発明してから10年遅れである

 白熱舎は最初、1日十数個しか電球を製造できず、価格は一つ80銭だったと伝えられる。当時としてはかなりの貴重品だが、約2時間でフィラメントが切れて、長持ちしなかった

 あさって21日はエジソンの電球発明から130周年にあたる。日本メーカーは今、省エネ型で長寿命のLED(発光ダイオード)電球を開発し、世界を主導する。新時代を照らす明かりの競演だろう。

 10月19日付 編集手帳 読売新聞
創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge

10.24.2009

実感とずれているGDP「統計の日」経済的苦境にある人の深刻さが浮き彫りにならない・・・ 編集手帳 八葉蓮華

 外国に〈統計とはビキニの水着のようなものだ〉と謎かけに似た箴言(しんげん)がある。そのこころは〈見えない所に物事の核心がある〉ということらしい。ちょっと品は良くないが正鵠(せいこく)を射ている

 様々な統計が毎日のように発表されるものの、複雑なこの時代、数字の中に何が見えるか、何を読み取るか、となると難しい。特に最近、各種の経済統計に対して「実感とずれている」と疑問の声が上がり始めた

 国力を測る代表的な統計と言えばGDP(国内総生産)だろう。フランスのサルコジ大統領は、これに余暇の長さや医療の充実ぶりなど「幸福度」の要素を加味するよう提案しているとか

 一方、鳩山政権は、現在の政府の統計では経済的苦境にある人の深刻さが浮き彫りにならないとして、「貧困率」など新たな指標の算出を検討するそうだ

 18日は国が定めた「統計の日」。1870年(明治3年)のきょう、全国の特産物の生産高を集計し始めたことに由来する。作物や産業製品など地域自慢の産物の出来具合が、おそらくそのまま生活の豊かさや幸福度を示す指標でもあったのだろう。うらやましくもある。

 10月18日付 編集手帳 読売新聞
創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge

10.23.2009

あれが欲しい、これも欲しいと、プレゼントの山に酔いしれる「愚者の楽園」は願い下げ・・・ 編集手帳 八葉蓮華

 クリスマス前の要求攻勢に手を焼いた経験のあるお父さんはうなずくだろう。〈子供たちよ。サンタは大富豪じゃないんだぞ

 秀作ネーミング事典」(日本実業出版社刊)によれば、ある銀行が雑誌広告に掲載したコピーという。子供たちを諭し、たしなめるこういうお父さんのいる家庭は堅実なやりくりが出来るに違いない。いささか心配なのは“鳩山お父さん”である

 あれが欲しい、これも欲しいと、子供たち(各府省)が競って大きな「靴下」を並べた結果、来年度予算の概算要求(一般会計の歳出総額)は95兆円台と過去最大の規模に膨らんだ

 子供手当といい、高校授業料の実質無償化といい、高速道路の一部無料化といい、靴下に入れる高価なプレゼントは鳩山お父さんが約束した品々である。約束の履行というメンツにこだわって火の車にまたがるか、メンツを捨てて「子供たちよ。今年はサンタは来ない」と告げるか、お父さんの器量が試される

 〈クリスマス愚者の楽園地下にあり 福田蓼汀〉。傷んだ家計簿から目をそむけ、プレゼントの山に酔いしれる「愚者の楽園」は願い下げである。

 10月17日付 編集手帳 読売新聞
創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge

10.22.2009

「なに言うてんねん」犠牲者の無念と遺族の悲しみを思えば・・・ 編集手帳 八葉蓮華

 自動券売機が普及し、厚紙の乗車券が身の回りから姿を消して久しい。歌人の小池光さんに一首がある。〈厚紙の切符のころは耳に挟み眠れる人もゐたり夜汽車に〉(現代短歌文庫「続・小池光歌集」)

 旧国鉄の改札を通るとき、ハサミを入れる人の握力が伝わってくる「パッチン」という音と、切符の刻み目に触れた指の感触と、ともに懐かしい。昔の厚紙、今いずこ――と見渡せば、JR西日本の経営陣が“面の皮”として受け継いだようである

 福知山線の脱線事故を巡って旧国鉄OBなど4人に対し、国の事故調査委員会が開く意見聴取会の「公述人」に応募するよう働きかけ、うち2人には資料代として10万円ずつ謝礼を支払ったという

 犠牲者106人の無念と遺族の悲しみを思えば、買収じみた工作は恥ずかしくて普通はできない。厚顔のなせるわざだろう

 読売歌壇で読んだ歌がある。〈たそがれの電車の響きは繰り返す「なに言うてんねん、なに言うてんねん」〉(武富純一)。JR西の電車でガタンゴトンがどう聞こえるかは想像がつく。「遺族がなに言うてんねん、世間がなに言うてんねん」

 10月16日付 編集手帳 読売新聞
創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge

10.21.2009

仲間を手助けする「チンパンジー」言葉を交わしたことさえない・・・ 編集手帳 八葉蓮華

 越中(富山県)の盆踊り唄にある。〈鮎(あゆ)は瀬につく 鳥は木にとまる 人は情けの下に住む…〉。人の世は思いやりで成り立っている、と

 「情けの下」に住むのは人間だけではないかも知れない。チンパンジーも見返りなしに仲間を手助けすることが、京都大野生動物研究センター・田中正之准教授と東京大・山本真也研究員の実験で確かめられたという

 窓でつながった隣同士の部屋に1頭ずつ入れる。ストローなしには飲めないジュースの容器が置かれた部屋にはステッキを、ステッキなしには容器が引き寄せられない部屋にはストローを用意した

 6ペアで24回ずつ実験し、59%の割合で道具が受け渡されたという。その7割以上が相手に要求されて道具を渡したもので、さすがに人間のような、自発的に仲間を助ける能力は…と書きかけて、ためらうものがある

 朝晩のこみ合う電車で、つらそうに立つお年寄りを見かけることがある。隣人の困りごとに手を貸そうにも、言葉を交わしたことさえない都会暮らしの人も少なくないと聞く。実験の記事を読みながら、盆踊り唄がチクリと胸を刺さぬでもない。

 10月15日付 編集手帳 読売新聞
創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge

10.20.2009

韓国や中国に太刀打ちできる「ハブ空港」国家戦略として育てよう・・・ 編集手帳 八葉蓮華

 子供のころ、誰もが口ずさんだ唱歌「オウマ」は林柳波が作詞した。〈オウマノ オヤコハ/ナカヨシ コヨシ/イツデモ イッショニ/ポックリポックリ/アルク…〉

 読売新聞文化部「愛唱歌ものがたり」(岩波書店)によれば、柳波は幼い娘を連れて千葉県成田市の三里塚御料牧場に遊んだとき、想を得て「オウマ」の原詩を書いたという。歌の舞台はいま、成田空港になっている

 前原国土交通相が、羽田空港を国際拠点(ハブ)空港にする意向を表明した。「国際線は成田、国内線は羽田」という原則は取り払うという

 羽田と成田、“空港の親子”がポックリ、ポックリ仲良く歩いているうち、日本は国際空港の実力で韓国や中国に大きく水をあけられた。国家戦略として1頭を外国に太刀打ちできる競走馬に育てようとするとき、都心に近く利便性の高い「羽田」を選んだ判断は間違っていない

 お馬の親子が似合う成田の田園風景が空港に姿を変えるまでには、激しい反対運動があり、血も流れた。「これからは脇役で」と告げられても、地元は戸惑うだろう。前原氏が情理を尽くして語るしかない。

 10月14日付 編集手帳 読売新聞
創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge

10.19.2009

歳出削減「官僚の抵抗」政治の刷新は脱官僚とムダの根絶から・・・ 編集手帳 八葉蓮華

 日本が暦を旧暦から欧米と同じ太陽暦に改めたのは1872(明治5)年のことだ。11月になって唐突に「12月3日を明治6年の正月とする」とする布告が出され、世間は大騒ぎになった

 改暦を断行した大隈重信の主眼は文明開化ではなかった。旧暦の明治6年には閏月(うるうづき)があり、官僚に1か月余計に月給を払わねばならない。回顧録で大隈は「財政の困難を済(すく)はんため」と真の狙いを明かしている

 後に「隈板(わいはん)内閣」の首相になると、大隈は再び歳出削減に取り組んだ。各省の次官、局長らを与党・憲政党員にすげ替え、内閣に臨時政務調査会を設けて行政の無駄を洗い出そうとした

 政治の刷新は脱官僚とムダの根絶から、というのは今も同じのようだ。鳩山内閣でも行政刷新会議が始動し、補正予算の見直しが大詰めだ

 隈板内閣は官僚の抵抗で予算を組めず、わずか4か月で崩壊した。現内閣の官僚は今のところ協力的なようだが、来年度予算の編成が年内に間に合うかどうか、正念場はこれからだ。下界の政権交代を見物する大隈は、「改暦で13月を追加すべし」と天上でつぶやいているかも知れない。

 10月12日付 編集手帳 読売新聞
創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge

10.18.2009

消費者庁、金融庁、時の注目が集まっている官庁の名が悪用されやすい・・・ 編集手帳 八葉蓮華

 腹立たしいので認めたくはないのだが、詐欺師連中のニュース感覚の鋭さには恐れ入る。消費者庁が発足する直前あたりから、もう、その名を騙(かた)る手口が出始めた

 傘下の国民生活センターが「消費者庁を名乗る不審電話などに注意を」と呼びかけているのは悪い冗談としか思えない。以前に怪しい未公開株の被害にあった人の所へ、「新たに発足した消費者庁の救済業務」と称してさらに怪しい話を持ちかけてくるらしい。いやはや

 いかがわしい取引話の後でなぜかニセ金融庁からも電話が来て、「同種の被害を調査中だが、その取引は大丈夫」とお墨付きを与える手口もあるという。消費者庁といい、金融庁といい、時の注目が集まっている官庁の名が悪用されやすいということだろう

 亀井金融相が準備している住宅ローンなどの返済猶予法案も、悪者たちは今ごろ鵜(う)の目鷹(たか)の目で“研究”しているかも知れない。つけ込まれる余地のない制度にしてもらいたい

 警察庁が運転免許更新時のアンケート調査をもとに、振り込め詐欺の被害者は全国で140万人、という驚きの推計を出した。怒りがおさまらぬ。

 10月11日付 編集手帳 読売新聞
創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge

10.17.2009

悩むだけの価値がある「ノーベル平和賞」◆大統領の打ち出した〈核兵器なき世界〉・・・ 編集手帳 八葉蓮華

 描きたい風景は頭のなかにあり、絵筆も握ってはいるが、キャンバスはまだ真っ白のままである。そのキャンバスが名画として激賞され、権威ある美術賞に選ばれたとしたら、画家は喜ぶよりも先に悩み、苦しむだろう

 脳裏の構図を絵の具と筆でいかにして形にし、賞の重みに堪える絵に仕上げていくか…。今年のノーベル平和賞に選ばれた米国のオバマ大統領はいま、作品があまりに早く絶賛されてしまった画家の心境かも知れない

 大統領の打ち出した〈核兵器なき世界〉はまだ構想の手前、願望に近い手つかずの絵である。「称賛とは借金のようなもの」と、褒められることの重圧を語ったのは英国の詩人サミュエル・ジョンソンだが、その重圧を梃子(てこ)にして「絵」の完成を迫るのがノーベル賞委員会の意思であったろう

 「核廃絶」の理想と「核の抑止力」という現実をどういう線で結ぶのか――賞をいわば“前借り”してしまった大統領の筆遣いを世界の目が見つめている

 唯一の被爆国である日本には、白いキャンバスの前で大統領と一緒に悩む使命があるだろう。悩むだけの価値がある「絵」である。

 10月10日付 編集手帳 読売新聞
創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge

10.16.2009

「台風18号」観測技術と情報網のおかげで心の準備をするだけの時間がある・・・ 編集手帳 八葉蓮華

 プロ野球で「18」はエース格の投手が背負う番号として定着している。いま大リーグの松坂大輔投手が西武時代からそうだったし、巨人では藤田元司、堀内恒夫、桑田真澄と錚々(そうそう)たる顔ぶれが並ぶ

 同じ数字を背負う手ごわい敵が列島を脅かしている。数千人が犠牲になった伊勢湾台風に匹敵する強さの台風18号には、少しの油断もならない。左投手が投げるカーブの軌道にも似た進路予想図を気にかけつつ、眠りの浅い朝を迎えた方も多かろう

 「日本文化の真髄とされるワビ、サビの根源は地震と台風だ」と、作家の山田風太郎さんが晩年の随筆に書いている。“もののあわれ”など独特の無常観はそこから生まれたと

 その通りとしても、地震と違って台風にはいま、観測技術と情報網のおかげで心の準備をするだけの時間がある。痛ましいニュースで無常観を味わいたくはない。必要とあれば避難は早めに、通勤や通学の行き帰りにも周囲への目配りをお忘れなく

 打ち返すことも、打席を外すこともできない。ヘルメットをしっかりかぶり、球から目を離さず、ベースから遠く立って身を守るのみである。

 10月8日付 編集手帳 読売新聞
創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge

10.15.2009

「ええじゃないか」の乱舞とともに、踊りの流行が人心の不安を表す・・・ 編集手帳 八葉蓮華

 演劇評論家の戸板康二さんに、東京で一人暮らしを始めた当時の回想談がある。下宿の階下がレコード店で、来る日も来る日も朝から晩まで「東京音頭」が聞こえる。たまりかねて引っ越したと、随筆集「ハンカチの鼠」に書いている

 ヤートナ、ソレ、ヨイヨイヨイと、国じゅうがその歌と踊りに酔いしれたのは1933年(昭和8年)、国際連盟脱退や、小林多喜二が特高警察の手で虐殺されたのと同じ年の夏である

 幕末「ええじゃないか」の乱舞とともに、踊りの流行が人心の不安を表す証しとして語られることが多い

 「CM総合研究所」の調査によれば、今年上半期の新商品2403銘柄のCMで好感度トップ10のうち6作品までが異例なことに、踊りを含む“ダンス系CM”であったという。視聴者が景気や雇用に感じている不安を反映しているのかも知れない

 江戸の地口に、〈驕(おご)る平家は久しからず〉をもじり、〈踊る平気は久しからず〉とある。軽快なステップを踏む鳩山内閣の歳出見直しというダンスは始まったばかりだが、景気の目配りをおろそかにして「踊る平気」にならない用心が要る。

 10月7日 編集手帳 読売新聞
創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge

10.13.2009

「人生のスランプ」よく食って、よく眠って、ただ待っているのです・・・ 編集手帳 八葉蓮華

 文芸評論家の小林秀雄がある酒の席で、プロ野球・国鉄スワローズの豊田泰光選手(現・野球評論家)に尋ねた。スランプの時はどうするのか? 豊田選手は答えたという。「よく食って、よく眠って、ただ待っているのです」

 小林の随筆「考えるヒント」(文春文庫)の一節だが、憂いに身を包んでの食事と睡眠ほどむずかしいものはない。不名誉ないきさつでの閣僚辞任、落選という人生のスランプにいたその人も不眠に悩んでいたという

 中川昭一元財務相が56歳で急逝した。解剖で循環器系に異常が見つかっている。ときに度を越した飲酒癖も、ぶっきらぼうな語り口も、シャイで内省的な人柄の裏返しであったと、故人を知る人は言う。人一倍の悔恨と憂悶(ゆうもん)に体をむしばまれて命を縮めただろうとは想像がつく

 常に国益を最上位に置き、保守の表街道を歩いた人である。過去の失策も、雌伏の時間も、まだ明日の糧に変えられる年齢であり、スランプを乗り越えた先には自民党の4番打者に座る日もあったことを思うとき、早過ぎるシが惜しまれてならない

 その人の面影に盃(さかずき)をかざし、目を閉じる。

 10月6日 編集手帳 読売新聞
創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge

10.11.2009

金の切れ目が縁の切れ目「分担金」顔の見えるODAが大事・・・ 編集手帳 八葉蓮華

 国連はじめ国際機関の間で、「日本と言えばPBI」という悪評が定着している、と教えられた。PBIはプログラム・バジェット・インプリケーションの略。予算がこの先増える可能性、ということだ

 小泉構造改革の一環で政府開発援助(ODA)が年々削減された。限られた予算を効果的に使うには、「顔の見えるODAが大事だ」として、2国間援助が重視された。その分、国際機関に回せるパイが小さくなった

 加えて、日本が義務的に払わなければならない「分担金」は国際機関予算の16・6%と決まっている。国際機関が事業を拡大すると分担金まで増えてしまい、実際の援助に回すパイはますます小さくなる

 それはたまらぬと外務省が国際機関の事業に目を光らせ、会議のたびにPBIがあるかを尋ね、予算が増える案件にノーと言い続けた。その結果が、この不名誉なレッテルである

 金の切れ目が縁の切れ目とばかり、日本が会議で頼み事をしても、断られる場面も出てきたそうだ。ダイエットも大事だが、日本外交の基盤が“骨粗しょう症”化しては困る。援助外交の再点検は急務であろう。

 10月5日 編集手帳 読売新聞
創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge

10.10.2009

五輪の招致「東京」国民の心を束ねる糸がないまま、招致の熱が沸点に達しなかった・・・ 編集手帳 八葉蓮華

 人生は一冊の本にたとえられる。英国の詩人ジョン・クレアは過去を悔いる気持ちを、「人生に第2版があれば校正をしたい」と言い表した。「人生の一ページ」という耳慣れた言い回しもある

 胸に深く刻まれる出来事は「栞(しおり)」かも知れない。卒業、初恋…過去を顧みるたび、そのページがきまって開かれる栞を、誰もが自分だけの本に挟んでいる

 災害や事件のように、同時代の空気を吸った人々が共有する栞もある。美しい栞を7年後の子供たちに贈れなかったのが残念でならない。2016年夏季五輪の招致に、「東京」が敗れた

 敗戦の焦土から立ち上がり、平和の祭典に臨む。45年前の東京五輪のような、国民の心を束ねる糸がないまま、招致の熱が沸点に達しなかった印象も残る

 多くの人が足し算をしたはずである。自分はいま何歳、子供は何歳、7を足してそれぞれ何歳、生活は、世の中はどう変わっているだろう…。今日を生きるのに心せかれるご時世に、少し遠くを見つめる時間をもてたことは無駄ではあるまい。栞の幻影を追いつつ九分九厘は負け惜しみで、残る一厘は心から、そう思う。

 10月4日 編集手帳 読売新聞
創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge

10.09.2009

ユーモアあふれる科学研究に贈られる「イグ・ノーベル賞」昭和史のお年玉がくれたお年玉・・・ 編集手帳 八葉蓮華

 パンダを評した言葉のなかで〈昭和史のお年玉〉は秀逸の部類だろう。戦争の山坂を越え、国交回復の象徴として中国から贈られた上野動物園の2頭が日本で初お目見えした経緯を、巧みに言い表している

 糸井重里さんの「萬流コピー塾USA」(文芸春秋)にある。お題を出して読者から広告コピーを募る週刊誌の人気企画を一冊にしたもので最近の本ではないが、米国から届いた愉快な朗報にその一句を思い浮かべた

 ユーモアあふれる科学研究に贈られる「イグ・ノーベル賞」生物学賞に田口文章・北里大学名誉教授が選ばれたという。パンダのフンに含まれる細菌で台所のゴミを90%減らせることを示した業績が評価されての受賞である

 田口さんは上野動物園からフンをもらい受けて研究したというから、うれしい受賞は昭和史のお年玉がくれたお年玉だろう

 〈国家畜(こっかちく)〉という作品もあった。中国政府のパンダ外交を皮肉ったコピーだが、文明はゴミで滅びるとも言われる現代である。将来いつか、国々のゴミを減らす救世主「国家畜」となって文明存続の「お年玉」をくれる日が、さて、来るかしら。

 10月3日 編集手帳 読売新聞
創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge

10.08.2009

「モラトリアム」新たな貸し出しに用心深くなる。かえって貸し渋りを助長する・・・ 編集手帳 八葉蓮華

 ロシアのピョートル1世は好奇心が旺盛で、造船や印刷などの技術を習得し、“職人皇帝”と呼ばれた。歯科医療にも関心が高く、廷臣の歯を麻酔なしで抜くのを趣味にしたとも伝えられる

 「おれが治してみせる」という善意と意欲の表れとはいえ、ありがた迷惑だった人も多かろう。亀井静香金融相の唱える返済猶予制度(モラトリアム)構想に、金融界はおろか、ほかの閣僚までもが困惑している様子と、ちょっと似たところがある

 「貸し渋り」に泣く中小企業や、住宅ローンに苦しむ個人に、借金の返済を3年ほど猶予する方向という

 意図は分からぬでもないが、民間同士の契約に国があとから口を挟み、契約の内容が変更されるとすれば、金融機関は新たな貸し出しに用心深くなる。かえって貸し渋りを助長することにもなろう。ひとつ間違えば、経済の全身を循環する血液(資金)の流れをせき止めかねず、治療が命取りになる恐れもある

 蘭方(らんぽう)医の杉田玄白が残した七か条の養生訓に〈事なき時、薬を服すべからず〉とある。毒物すれすれの劇薬を処方すべき時かどうか、判断は慎重であっていい。

 10月2日付 編集手帳 読売新聞
創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge

10.07.2009

マグニチュード8・0の強い地震、南太平洋のサモア諸島“楽園”に津波が・・・ 編集手帳 八葉蓮華

 サマセット・モームの短編「雨」にある。〈青々と葉をつけた椰子(やし)の樹(き)がほとんど波打ち際まで生い茂って、その間にサモア人の草葺(くさぶ)きの家々が並び、処々(ところどころ)に小さな教会が点々と白く光って見えた〉

 米領サモア、パゴパゴ港の風景である。海の描写は、別の短編「赤毛」にある。濃い紺青からワイン、紫水晶、エメラルド、黄金の色に変化していく〈魔法の庭だ〉と。どちらも新潮社版(中野好夫訳)から引いた。ひと言でいえば“楽園”だろう

 マグニチュード8・0の強い地震による津波が南太平洋のサモア諸島を襲い、多数のシ者が出た

 〈サモアの島 たのしい島よ/風は吹く 静かな海…〉。かつてNHK「みんなのうた」で歌われた「サモア島の歌」(詞・小林幹治、ポリネシア民謡)の一節だが、水浸しの村や壊れた家屋の写真に、静かで楽しい海の面影をしのぶよすがはない

 国技ともいうべきラグビーの交流を通じ、あるいは観光で訪れたのが縁となり、被災地に友人をもつ方も多かろう。人知を超えたものが治める「魔法の庭」であるならば、安否の案じられる不明者にどうか奇跡を、と祈る。

10月1日付
創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge

10.05.2009

生誕100年女優の田中絹代さん、日本映画の黄金期を生き「女優」でありつづけた・・・ 編集手帳 八葉蓮華

 女優の田中絹代さんが67歳で亡くなるとき、脳腫瘍(しゅよう)のために両眼はほとんど失明していた。「目が見えなくても、やれる役がありますか」。遠縁にあたる映画監督の小林正樹氏に尋ねたと伝えられる

 その名を聞き、年配のファンは映画「伊豆の踊子」や「愛染かつら」のヒロインを、少し若い人はテレビドラマ「前略おふくろ様」の母親役や朝のテレビ小説「雲のじゅうたん」のナレーションを思い浮かべただろう

 日本映画の黄金期を生き、息をひきとるまで「女優」でありつづけた人の、今年は生誕100年にあたる

 記念の上映会が10月6日から東京国立近代美術館フィルムセンター(東京・京橋)で始まる。無声映画から晩年にベルリン映画祭で女優賞を受けた「サンダカン八番娼館 望郷」まで約90本、その数にも映画史に刻まれた偉大な足跡がしのばれよう

 鎌倉市の円覚寺にお墓がある。すぐそばにオウム事件の被害者、坂本弁護士一家が眠っている。一家の墓参をした折に手を合わせたことがある。石に故人の肖像が彫られてあった。わたしは永遠に女優――と、声の聞こえてきそうな像である。

 9月30日付 編集手帳 読売新聞
創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge

10.03.2009

古くから支えてきた人々「情けの枝」なぜ、折れたか、お忘れなく・・・ 編集手帳 八葉蓮華

 「大利根月夜」「傷だらけの人生」などで知られる作詞家、藤田まさとさんは借家から借家へ、生涯に18回引っ越した。転居通知で自分の存在をレコード会社に思い出させているのか――不遇のころはそう思ったと、夫人の回想にある

 世間の耳目は鳩山政権の一挙一動に集まり、野党席に引っ越した自民党の影は薄い。今回の総裁選には、「自民党もお忘れなく」という転居通知の意味もあっただろう。元財務相の谷垣禎一氏(64)が新総裁に選ばれた

 心の弾まぬ転居にも効用はある。必要な品とガラクタを分別する作業を通して、党の姿は簡素に、清潔になるに違いない

 外交や安全保障での地に足のついた政策は、持っていく荷物の筆頭に置かれていい。捨てていくガラクタの第一は、政権党の大邸宅にぬくぬく暮らすなかで身についた“おごり”だろう

 〈人の情けにつかまりながら/折れた情けの枝で死ぬ…〉と、藤田流の名調子「浪花節だよ人生は」にある。自民党を古くから支えてきた人々の「情けの枝」がなぜ、ポキリと折れたか。引っ越し荷物の入念な分別作業なくして、政権奪還などあり得ない。

 9月29日付 編集手帳 読売新聞
創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge

10.02.2009

貧者を喰らう国― いびつな社会構造、中国格差社会からの警告・・・ 編集手帳 八葉蓮華

 今年にも日本を抜いて世界2位の経済パワーになると予測される中国。強烈な貧富の差が生まれ、いびつな社会構造になったのが泣き所だ

 人口13億の中国で、農民の多くが今も貧困から抜け出せないのはその象徴である。なぜなのか。中国では農民の子は、一生「農村戸籍」のままで、「都市戸籍」に変わることが極めて難しい。農村からの出稼ぎ労働者が、都市では住民として扱われず、子供はまともな教育さえ受けられない

 理不尽な戸籍制度の改革が進まない背後には、食料生産確保のため、農民を農業にしばりつけておきたい政府の狙いがある、と阿古智子・早稲田大准教授が新著「貧者を喰らう国―中国格差社会からの警告」で指摘している

 集団所有の農地での生産請負制度もネックだ。農地の使用権は30年に制限され、自由な売買や抵当に入れることはできない。土地利用の弾力化が進む中で、役人や不動産業者によって農地を奪われる「失地農民」が後を絶たない。こんな構図にいつ変化が来るのか

 来月1日に建国60周年を迎える中国。いつまでも「任重くして道遠し」であってはなるまい。

 9月28日付 編集手帳 読売新聞
創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge