10.27.2009

過去はなまけ者の幻「郵政改革」未来は馬鹿者の希望・・・ 編集手帳 八葉蓮華

 堀口大学の詩「現在教秘義」に、〈過去はなまけ者の幻だ/未来は馬鹿者の希望だ〉とある。郵政民営化も、過去と未来のせめぎ合いから始まっている

 推進派は反対派の主張を国営のぬるま湯に浸った〈なまけ者の幻〉と見、反対派は推進派の主張を未来はバラ色と信じて疑わない〈馬鹿者の希望〉と見た。どちらの主張が正しかったか――民営化からわずか2年余りの現在、答えはまだ出ていない

 答えは出ていないが、郵政解散・総選挙で示された「民でできる仕事は民で」という有権者の意思は今なお重いものがあろう。政府がきのう閣議決定した「郵政改革の基本方針」には、事実上の国営に逆戻りさせたい意向も見え隠れする

 国民の財産を二束三文でたたき売ろうとした「かんぽの宿」問題を顧みて、日本郵政・西川善文社長の辞任は当然である。経営者という“ハンドル”に不具合があったからといって、しかし、民営化という“自動車”まで解体する理由にはならない

 工夫と改良によって、民営化を〈賢者の希望〉に変えていくのが筋だろう。時計の針を〈なまけ者の幻〉に戻してはいけない。

 10月21日付 編集手帳 読売新聞
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