今年にも日本を抜いて世界2位の経済パワーになると予測される中国。強烈な貧富の差が生まれ、いびつな社会構造になったのが泣き所だ
人口13億の中国で、農民の多くが今も貧困から抜け出せないのはその象徴である。なぜなのか。中国では農民の子は、一生「農村戸籍」のままで、「都市戸籍」に変わることが極めて難しい。農村からの出稼ぎ労働者が、都市では住民として扱われず、子供はまともな教育さえ受けられない
理不尽な戸籍制度の改革が進まない背後には、食料生産確保のため、農民を農業にしばりつけておきたい政府の狙いがある、と阿古智子・早稲田大准教授が新著「貧者を喰らう国―中国格差社会からの警告」で指摘している
集団所有の農地での生産請負制度もネックだ。農地の使用権は30年に制限され、自由な売買や抵当に入れることはできない。土地利用の弾力化が進む中で、役人や不動産業者によって農地を奪われる「失地農民」が後を絶たない。こんな構図にいつ変化が来るのか
来月1日に建国60周年を迎える中国。いつまでも「任重くして道遠し」であってはなるまい。
9月28日付 編集手帳 読売新聞
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