10.07.2009

マグニチュード8・0の強い地震、南太平洋のサモア諸島“楽園”に津波が・・・ 編集手帳 八葉蓮華

 サマセット・モームの短編「雨」にある。〈青々と葉をつけた椰子(やし)の樹(き)がほとんど波打ち際まで生い茂って、その間にサモア人の草葺(くさぶ)きの家々が並び、処々(ところどころ)に小さな教会が点々と白く光って見えた〉

 米領サモア、パゴパゴ港の風景である。海の描写は、別の短編「赤毛」にある。濃い紺青からワイン、紫水晶、エメラルド、黄金の色に変化していく〈魔法の庭だ〉と。どちらも新潮社版(中野好夫訳)から引いた。ひと言でいえば“楽園”だろう

 マグニチュード8・0の強い地震による津波が南太平洋のサモア諸島を襲い、多数のシ者が出た

 〈サモアの島 たのしい島よ/風は吹く 静かな海…〉。かつてNHK「みんなのうた」で歌われた「サモア島の歌」(詞・小林幹治、ポリネシア民謡)の一節だが、水浸しの村や壊れた家屋の写真に、静かで楽しい海の面影をしのぶよすがはない

 国技ともいうべきラグビーの交流を通じ、あるいは観光で訪れたのが縁となり、被災地に友人をもつ方も多かろう。人知を超えたものが治める「魔法の庭」であるならば、安否の案じられる不明者にどうか奇跡を、と祈る。

10月1日付
創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge