7.05.2010

蒙御免「ごめんこうむる」相撲協会を信じては裏切られてきた・・・ 編集手帳 八葉蓮華

 大相撲の番付には〈蒙御免〉と書いてある。「ごめんこうむる」と読み、許可を得た、の意味になる。お奉行の許可なしには興行ができなかった昔の名残という

 「蒙昧(もうまい)」という言葉があるように、「蒙」の字には「こうむる」以外に、「おろか」の意味もある。野球賭博事件が発覚した当初、厳重注意で済まそうとした日本相撲協会である。名古屋場所の番付に載る〈蒙御免〉は「おろかで、ごめんね」という謝罪文に読めるかも知れない

 相撲協会は、外部の調査委員会が「名古屋場所(7月11日初日)開催の条件」として提示した勧告の受け入れを決めた

 幕内だけでも7人の力士が休場し、大嶽(おおたけ)親方(元関脇・貴闘力(たかとうりき))は解雇か除名、武蔵川理事長を含む親方12人が謹慎――これだけの不祥事を「厳重注意」で幕が引けると考えた相撲協会の“常識欠損病”は重篤である

 リンチ事件でもう懲りたかと思い、大麻事件で自覚したかと思い、暴力団の絡んだ「維持員席」事件で反省したかと思い、そのたびに相撲協会を信じては裏切られてきた。大相撲が滅んでから、「おろかで、ごめんね」と謝られても遅い。

 6月29日付 編集手帳 読売新聞
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