7.22.2010

救いようがない「おはせしか」などと敬語を使いたくもない・・・ 編集手帳 八葉蓮華

 〈先生が瓜盗人(うりぬすっと)でおはせしか〉(高浜虚子)。瓜どろぼうを捕らえてみれば、「先生、あなたでしたか…」。つかまった先生のしょっぱい顔が浮かんできて、おかしい

 俳人の夏井いつきさんは著書『絶滅寸前季語辞典』(東京堂出版)に書いている。〈「瓜」なら盗んでいいとは言わないが、俳句にすらならないことをやってしまってはお仕舞(しま)いだ。「先生が暴行犯でおわせしか」では救いようがない〉と。その救いようのない先生が現実にいる

 先生が連続強カン(ごうかん)致傷犯で…いや、「おはせしか」などと敬語を使いたくもない

 東京・多摩地区で小学生の女児など5人が襲われた暴行事件は、東京都稲城市の市立小学校に勤務している男性教諭(29)の犯行であったという。警視庁の取り調べに対し、「4、5年前から、東京都内と神奈川県内で十数件やった」と供述している

 英文学者の外山滋比古(とやましげひこ)さんは小学生のころ、先生を神様のように思い、「先生もオシッコをするさ」と言う友達とけんかしたという。神様とは言わずとも、この教師も児童の目には仰ぎ見る存在だったろう。裏切られた児童も被ガイ者である。

 7月17日付 編集手帳 読売新聞
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