「白血病です。5年生存率は3割」。そう医師に告げられた新潟県長岡市の小学校教師水谷徹平さん(33)は、入院先の無菌病室と担任だった5年生の教室をテレビ電話システムでつないで授業をした
闘病体験や命の大切さへの思い、みんなの手紙に励まされていることなどを話した。教室のスクリーンに大写しされる先生の姿を子供たちは真剣な表情で見つめた。快方に向かい、学校に戻れたのは奇跡と言えるだろう
総合学習の時間を使い、水谷さんは命の大切さを考える授業を始めた。誕生と成長の過程を調べて自分史を作らせたり、稲作体験や食物連鎖の学習で「いただく命」を考えさせたり、緩和ケアに携わる医師に「生とシ」を語ってもらったり
「命や生き方に対する子供たちの考え方が根本的に変わったと感じます」。3年にわたった「いのちの授業」の実践で、水谷さんは第59回読売教育賞を受けた
テレビ電話授業は「学校にパソコンやプロジェクター、校内ネットワークがあったからできた」と水谷さん。学校教育の情報化が進む。無機的なハイテク機材が人と人の心をつなぐこともある。
7月25日付 編集手帳 読売新聞
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