7.28.2010

政権交代から【1年】365回の失望から成る期間『アクマの辞典』・・・ 編集手帳 八葉蓮華

 皮肉屋のアンブローズ・ビアスは『アクマの辞典』で「知人」を定義して言う。〈【知人】金を借りるほどには親しいが、金を貸すほどには親しくない間柄の人〉。金銭に限らず、何の貸し借りにも間柄の親疎が影響する

 中国にとって、自民党政権下の日本は「知人」であったろう。こちらから円借款などを供与することはあっても、ここぞという場面で、あちらから力を貸してもらった記憶はあまりない

 民主党政権になって「知人」から「友人」に格上げされたか、と感じたのは昨年12月である。小沢一郎幹事長(当時)率いる総勢600人の“超特大”訪中団は破格の厚遇を受けた

 北朝鮮の後見役、中国の力を借りて拉致事件で圧力をかける――民主党政権が「友人」中国から拝借すべきは本来、そういう助力であり、一緒に記念撮影をしてもらう国家主席のお時間ではなかろう。新しい情報が得られなかった元北朝鮮工作員の日本訪問を実現させただけでは、仕事をしたことにはならない

 夏がゆけば政権交代から1年になる。拉致問題では辞典の言葉を忘れまい。〈【1年】365回の失望から成る期間〉

 7月23日付 編集手帳 読売新聞
創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge