せっかく知恵を絞ってネーミングしても定着しなかった言葉がある。さしずめ〈E電〉(旧国電)が横綱格だ。明石海峡大橋も〈パールブリッジ〉の愛称を定めたが、今は忘れ去られている
〈マニフェスト・サイクル〉もこのままなら死語となる運命だ。これを提唱した学者たちは、政策ごとに財源や実施期限を明示するマニフェストを出すだけでは不十分で、公約の達成度をしっかり点検しないと、マニフェストの意義は失われると説いた
かつての公約は「選挙限りの悪質広告」と大差なく、衆院選ごとの政策評価が大事だ、という指摘はもっともだ。だが、理屈にとらわれ過ぎ、「政権選択の選挙は衆院選なので、参院選で負けても首相は辞める必要なし」とまで唱えたのは余計だった
07年の参院選で大敗した安倍首相は学者のお墨付きにすがって政権にとどまろうとし、失敗した。〈~サイクル〉は理屈倒れという印象だけが残った
各党のマニフェストは依然、財源の裏付けがあやふやで、標語調の表現も目立つ。かつての悪質広告へ“逆サイクル”させぬためにも、有権者が目を凝らすことが大事だ。
8月3日付 編集手帳 読売新聞
創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge