I owe you(私はあなたに借りがあります)―略して「IOU」と呼ばれる借用書を米カリフォルニア州が発行したのは先月である。財政危機に瀕(ひん)したシュワルツェネッガー州知事が、税金還付などで州民に支払うカネの代用手段として決断した
かつてゴールドラッシュで沸いた「黄金の州」が、皮肉にも「金欠州」に転落だ。州の新年度予算が成立し、財政破綻(はたん)はとりあえず回避されたが、綱渡りが続く。州の景気悪化も深刻だ
映画スターでもある知事が、「私を信じて欲しい」と財政再建を訴える姿は、スクリーンでみせた強靱(きょうじん)なターミネーターとは違う。カリフォルニア州は、住宅バブル崩壊と金融危機の打撃が大きかった。IOUは、そんな苦境を象徴しているようだ
2期目のシュワルツェネッガー知事に、3選は認められない。金融危機は最悪期を脱しつつあるが、全米最大州の財政悪化に歯止めをかけ、経済を再生させる持ち時間は限られる
ターミネーターは「終焉(しゅうえん)」や「断ち切る」などが語源である。“カリフォルニア火の車劇場”の幕引き役を担うターミネーター知事の責任は重い。
8月24日付 編集手帳 読売新聞
創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge