真珠湾のアリゾナ記念館に、山本五十六の肖像画がある。米国が決して忘れない攻撃を指揮したにもかかわらず、〈人望ある艦長にして卓越した戦略家。合衆国との戦争には反対していた〉と、説明書きは意外に好意的だ
責務を全うした軍人、というのがヤマモト評らしい。故郷・新潟県長岡市の訪問団が昨年秋、真珠湾の戦シ者に花輪を捧(ささ)げた際、一行は米側から棘(とげ)のある言葉を聞くことも覚悟していたそうだが、杞憂(きゆう)に終わった
長岡も終戦直前の空襲で焦土と化している。山本の故郷ゆえに標的にされたとの説もあるが、定かではない。いずれにせよ、真珠湾で山本個人への悪感情に出会わなかった訪問団は確信した。あの戦禍を繰り返すまい、と訴えるのに長岡とホノルルほどふさわしい組み合わせはない、と
山下清も張り絵で描いた長岡の花火は毎年、戦争犠牲者を悼んで打ち上げられてきた。これを真珠湾でも見てもらいたい、との夢が膨らみつつある
きょうホノルル市の一行が信濃川河川敷の花火会場を訪れ、その迫力を堪能する予定だ。長岡の三尺玉が真珠湾を彩る日は遠くないかも知れない。
8月2日付 編集手帳 読売新聞
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