8.09.2009

核廃絶への道「長崎原爆忌」「核実験博物館」知らなかったことばかり・・・ 編集手帳 八葉蓮華

 ラスベガスに「核実験博物館」なるものがある。ネオン輝くカジノの街には似合わぬように思えるが、地上で100発以上の核を爆発させた米ネバダ州の実験場は、そこから北西に100キロほどしか離れていない

 盛んに地上核実験が行われていた1950年代、ラスベガスのホテルはキノコ雲を見物する観光客でにぎわったそうだ。そんなエピソードと合わせ、名前やデザインに原爆を織り込んだ当時の日用品なども並んでいた

 米国とすれば、これも核開発の歴史の一部ということなのだろう。他の展示も、核が第2次大戦の終結に果たした役割などを肯定的に紹介している。原爆の悲惨さを理解できるものは残念ながら見あたらない

 国立長崎原爆シ没者追悼平和祈念館がここで特別展を開いたことがある。被爆者が語る体験談にアメリカの高校生は「知らなかったことばかり」と驚いていた、と特派員は伝えていた。こうした取り組みを、息長く積み重ねていくしかないのだろう

 きょう長崎原爆忌。彼我の隔たりを思い知り、国際情勢の現実を受け止めつつも、核廃絶への道を立ち止まらずに歩み続けたい。

 8月9日付 編集手帳 読売新聞
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