野球のナックル・ボールは回転せず、揺れるように変化する。蝶(ちょう)のようにダンスをする軌道は読みにくい。打者から厄介がられるばかりでなく、後逸しやすい捕手泣かせの難物でもある
歴戦の大リーガー、サンディー・アロマー捕手がナックル・ボールを捕球する感触を問われたときの、“迷答”が伝わっている。「ぼくに聞いても無駄だ。バックネットに聞くがいい」
失策に懲りた誰かが、もしも、「いっそのこと、ナックル・ボールを投げるのは禁止しよう」と主張したならば、どうだろう。「ばかを言いなさんな。おまえさんが捕球の技術を磨けば済むことだ」、一笑に付されるに違いない
政治資金という名のボールを、あっちへ逸(そ)らし、こっちへ逸らし、観客席の有権者から激しいブーイングの集中砲火を浴びている民主党が、「企業・団体献金」を禁止するべく政治資金規正法の改正に動き出すという
H監督、剛腕で鳴るO選手、新人女性のK選手…と、自軍に失策がつづいたからといって、野球のルールを変更する理由にはなるまい。まじめに練習を積み、自分たちが上達すればいいことである。
3月9日付 編集手帳 読売新聞
創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge