積み上げた木片をひとつずつ順番に抜き取って、崩した人が負け。パーティーの定番ゲーム「ジェンガ」である。すかすかになっても何とかバランスを保っているので、順番が来るたびに抜き取る時の緊張が増す
まるでジェンガのよう…と形容したくなるのが、潮流や水温の変化、プランクトンの多寡など海洋データの収集活動だ。水産試験場の海洋調査予算は、都道府県の財政難から年を追うごとに減っている
10年前と比べて予算が半分以下の試験場もあり、黒倉壽・東大教授は「海洋データ存続の危機」と警告する(海洋政策研究財団ニューズレター232号)
地方分権の思わぬ副産物でもあるらしい。予算配分を自治体の裁量に任せたことで、地方経済の活性化に結びつかない海洋調査は、いまや「最も削減されやすい支出項目」(黒倉教授)という
データは漁業や海洋環境の研究に欠かせない。調査の粗さから信頼性を損ねてしまえば、長年蓄積したデータとの比較も困難になる。ジェンガのように崩れる時はあっという間だ。海洋立国の足元がぐらついていることに政府は危機感を高めるべきだ。
5月10日付 編集手帳 読売新聞
創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge