室町時代の書物『尺素往(せきそおう)来(らい)』に、当時のならず者を列挙した一節がある。いわく〈山賊。海賊。勾引。辻斬(つじぎり)。追落…〉
勾引(ひとかどい)は「だまして、あるいは暴力で人を連れ去ること」、追落(おいおとし)は「往来の人を脅して追いかけ、その人が落とした財布を奪うこと」をいう。前者は拉致そのものであり、後者は、核で脅しをかけて近隣諸国から金品を引き出す手口に似ている
犯罪のカタログのような国の、今度は「辻斬」である。46人がシ亡した韓国海軍の哨戒艦沈没事件で、韓国の調査団は北朝鮮の魚雷攻撃が原因と断定した
韓国政府は国連安全保障理事会で制裁を求めるという。憤る韓国世論が北朝鮮の挑発に乗せられないようにするためにも、各国協調の仕置きが欠かせない
時代劇にはときに、辻斬りの下手人が権門に連なる身分であるために裁きの手が及ばない、という筋立てがある。北朝鮮の後ろにも、陰に陽にかばってくれる国際政治の顔役が兄貴分として控えている。中国をいかにして包囲網に引き入れるか。鳩山政権がみずから任じる“親中”の真贋(しんがん)が問われることにもなる。
5月21日付 編集手帳 読売新聞
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