2.12.2010

現実的なものとそうでないものに、そろそろきちんと分別した方がいい・・・ 編集手帳 八葉蓮華

 マニフェスト、という外来語は二つある。政権公約を意味するのは「manifesto」。産業廃棄物などの申告書類は「manifest」。立派な公約集と政策廃棄物一覧は紙一重だ――昨夏の総選挙前にそう書いた

 鳩山政権も半年近くたち、前者から後者へと移すべき政策がくっきりしてきたようだ。最たるものは子ども手当の「満額支給」だろう。実行すると年に5兆3000億円かかる

 子育て家庭への思い切った経済支援はいいが、国の財布から見て、やはり巨額過ぎる。2人の財務副大臣がそろって、「満額は難しい」と本音で語ったのはなかなか分別ある姿勢だった

 なのに上役からお叱(しか)りを受けた副大臣は一転、「うかつな発言だった」と陳謝したという。それでほかの福祉予算は確保できるの?と、医療や介護などの現場で不安が募るのは宜(むべ)なるかな

 高速道路無料化や農家の戸別補償など半年前に掲げた公約の数々を、現実的なものとそうでないものに、そろそろきちんと分別した方がいい。「分別」もまた“ふんべつ”と“ぶんべつ”の2語あるが、鳩山政権にはどちらも必要だろう。

 2月7日付 編集手帳 読売新聞
創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge