1.07.2010

政権交代の後で初めて迎えた年の初め、10年後はどう振り返るのか・・・ 編集手帳 八葉蓮華

 西暦で2010年という区切りの良い年を迎えると、さて10年前はどうしていたかな、その10年前は…と思いが巡る。前の区切り良き年は、前年の大晦日(みそか)から夜通し待機して、コンピューターの混乱に備えていた

 結局、「2000年問題」で深刻なトラブルは起きず、最も大きな影響はと言えば、新聞記者同様に企業や官庁で大勢の人が警戒出勤したため、初詣でや行楽を近場で済ませる人が増えたことだった。今思えば笑い話である

 1990年を迎えた時は兜町が沸き立っていた。前年末の大納会で日経平均株価は史上最高値の3万8915円をつけた。それが大発会から奈落へ向かうような値下がりが始まる。あの正月が日本経済の絶頂だった、と、これも今だから分かることだ

 政権交代の後で初めて迎えた年の初めは、不安と期待が交錯している。この正月を10年後はどう振り返るのか、20年後は…と考えてしまう。不安は杞憂(きゆう)に終わるかもしれないし、期待は裏切られるかもしれない

 盃(さかずき)を傾けつつ、未来から原稿を送れたらと夢想する。見通しと曜日の位置は良くない新年、お屠蘇(とそ)気分は三が日まで。

 1月3日付 編集手帳 読売新聞
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