行く手を石に遮られた人が、立ち止まって思案する。障ガイを意味する漢字「礙(がい)」は、そんな場面を示している。その俗字が「碍(がい)」だ
常用漢字表の改定を検討する文化審議会の委員会で「碍」の扱いが一つの焦点となっている。「障ガイ者」と表記すると負の印象が強い。中立的イメージの「碍」を常用漢字に加えて「障碍者」と表記できるようにすべきだ――。そんな意見が委員会に数多く寄せられている
戦前は「障ガイ」「障碍」「障礙」の三つの表記が併用されていた。「障碍物競走」と記された運動会のプログラムをご記憶の年配の方もおられることだろう。もっとも、「障ガイ者」という言葉が定着するのは戦後になってからだ
平仮名で「障がい者」とすべきだという意見もある。文化審議会とは別に、政府は「障ガイ」の法令上の表記のあり方について検討を始めた
「碍」と言えば「融通無碍(むげ)」や「碍子(がいし)」などの言葉も思い起こされる。「障ガイ者」の表記の選択の幅を広げる意味で、まずは「碍」を常用漢字に加えたとしても、違和感を抱く人はあまりいないだろう。少なくとも「障がい者」よりはいい。
1月25日付 編集手帳 読売新聞
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