1.29.2010

歴史は繰り返す、弟子は師が刻んだ轍をどこまでたどるのだろう・・・ 編集手帳 八葉蓮華

 〈幹事長の強力なリーダーシップで、300議席という奇跡的な大勝利を得た。その選挙で当選した新人は「雨後のたけのこ議員」などと呼ばれたが、派閥の勉強会で教育されて立派に成長した…〉

 30年前の小沢一郎後援会・陸山会発行の書物にそう記述されている。小沢氏の父で建設相などを務めた佐重喜(さえき)氏十三回忌の追悼本だ。紹介したくだりは後継ぎの「政治家小沢一郎への期待」と題した章にあった

 文中の幹事長とは田中角栄氏であり、薫陶を受けた昭和44年初当選組のホープが小沢氏というわけだ。その若手が今は、やはり幹事長として300超の議席を持つ与党を差配し、チルドレンと呼ばれる新人議員を大勢、配下に置いている

 歴史は繰り返す、ということか。否、弟子が師の背中を極めて忠実に追いかけ、その位置まで見事にたどり着いたとみるべきだろう。問題はここから先だ

 東京地検特捜部が、政治資金に疑惑ありとして小沢氏を事情聴取した。疑いが深まるか晴れるか、予測はできぬ。ただ、この弟子は師が刻んだ轍(わだち)をどこまでたどるのだろう、と固唾(かたず)を呑(の)んで見守るのみである。

 1月24日付 編集手帳 読売新聞
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