〈ぜにのないやつぁ 俺んとこへ来い/俺もないけど 心配すんな〉。政府が先日まとめた経済成長戦略を読んでいたら、植木等さんが歌った「だまって俺について来い」(青島幸男作詞)を思い出した
環境や省エネなど日本が得意な分野を伸ばせば、平均で名目3%を超える経済成長ができるというのだ。1991年度の後は一度も達成していない3%成長を、ポンと目標に掲げた唐突さが、楽観的な無責任男のイメージに重なった
成長するから〈心配すんな〉と胸をたたかれても、現状を見ると首をかしげたくなる。デフレで企業の業績は厳しく、サラリーマンの給料は減り続けている。不景気で税収が落ち、国の借金は急増した
歌は〈みろよ 青い空 白い雲/そのうちなんとかなるだろう〉と続き、植木さんは明るく笑い飛ばす
政府は戦略に必要な予算や実施の手順などの具体策を今年6月にも示すというが、歌のような出たとこ勝負の内容だったら、「平成無責任政権」と呼ばれても仕方ない。戦略実現を裏付ける中身が伴わねば、「だまって俺に…」と言われて、ノコノコついて行く者はいない。
1月11日付 編集手帳 読売新聞
創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge