胎児を包む膜を「胞衣(えな)」という。昔、地方によっては子供が生まれると、胞衣を土に埋め、地面を父親が踏んだ。最初に踏んだ者をその子は一生怖がると信じられ、親の威厳を保つ儀式であったらしい
「親が踏む前にクモがシューと通ったんでんな」。落語『こぶ弁慶』に、クモ恐怖症の男をそう語るくだりがある。民主党政権の胞衣を最初にシューと踏んで通ったのは政権交代の立役者、小沢一郎幹事長だろう。とはいえ、怖がるにもほどがある
民主党が“小沢資金”疑惑の検察捜査に圧力を強め、その一端は報道にも向けられている。怖さ余って、忠誠心の売り込み競争か…と、笑ってもいられない
においのもとを確認するのが異臭騒ぎの鉄則であり、常識である。検察の鼻を洗濯バサミでつまんでしまえ。「くさい、くさい」と騒がしいメディアの口にサルグツワを噛(か)ましてしまえ――とは、異様かつ異常である
胞衣を埋め直し、民主党を信じて一票を投じた有権者に踏み直してもらうのがいいだろう。恐れるのならば、有権者を恐れよ。洗濯バサミとサルグツワの政治は北朝鮮だけでたくさんである。
1月21日付 編集手帳 読売新聞
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