叛徒(はんと)を征討する官軍の大将が朝廷から賜った旗を「錦の御旗」という。転じて現在は、自分の主張などを権威づけるもの、の意味で用いられる
民主党の山岡賢次・国会対策委員長が在日本大韓民国民団(韓国民団)の新年会であいさつしたなかに、この言葉が出てきた。永住外国人に地方選挙権を与える法案に触れ、「今国会で実現するように錦の御旗として取り組んでいく」と語っている
意味の取りにくい物言いだが、衆院選で圧勝した事実を「錦の御旗」にたとえたようである。この御旗で反対派を征伐しますので、ご期待くださいませ――ということだろう
憲法15条は、公務員の選定・罷免は国民固有の権利と規定している。衆院選に大勝して憲法の条文まで蹴(け)散らせる「錦の御旗」を手に入れたと考えるのは、おごれる者の幻想である。島根県の「竹島」条例を挙げるまでもなく、地方政治が領土や基地など国益に深くかかわる事柄も扱うことを忘れてはなるまい
他国の人々に「温良」であることと、自国民の利益に鈍感な「能天気」であることの区別がつかないとすれば、困った“官軍”である。
1月15日付 編集手帳 読売新聞
創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge