初めて牛を見た子供の蛙(かえる)が家に戻り、母親にその巨大さを告げた。母蛙は「そいつは、このくらい大きかったかい」と、腹を膨らます。「いや、もっと」「ならば、このくらいかい」「いや、もっと」
民主党幹事長、小沢一郎氏の言動は寓話(ぐうわ)の母蛙を連想させる。議員を大挙率いての訪中といい、超特大の新年会といい、人を小ばかにしたような記者会見といい、なぜ、そんなに自分を巨大に見せようとするのだろう
隠れもない政界の最高実力者、存在感を誇示する必要などはあるまいに。憶測で物を言うのが許されるならば、答えは一つ浮かぶ。自身の資金管理団体「陸山会」の土地購入を巡る出所不明の4億円について、「これほど巨大な俺に疑惑の目を向ける度胸をお持ちかい?」という世間への威嚇としか思えない
“小沢資金”に、東京地検特捜部による強制捜査の手が入った。「牛」は世間であり、有権者であり、常識であり、法である。牛よりも大きな蛙はいない
衆院選で民主党に一票を投じた人々も真相が知りたいはずである。腹を膨らませての威嚇はほどほどにして、率直に語るべきだろう。
1月14日付 編集手帳 読売新聞
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