7.04.2009

水晶の玉「新銀行東京」「築地移転」「五輪開催」など都政の争点・・・ 編集手帳 八葉蓮華

 易者の前で子供たちがふざけて騒ぎ、商売の邪魔をする。「お前たちは、どこの子だ」。易者が怒ると、子供が「当ててみな」

 当たるも八卦(はっけ)、当たらぬも八卦をからかった小(こ)咄(ばなし)だが、国政選挙直前の東京都議選という「占い」に限っては高い的中率で知られている。衆院選の行方を占う都議選がきのう告示された

 自民党が下野して細川内閣が発足した16年前の衆院選でも、小泉人気で自民党が大勝した8年前の参院選でも、直前の都議選は凄腕(すごうで)の易者を演じている。「新銀行東京」「築地移転」「五輪開催」など都政の争点はあるものの、都民の一票は今回も水晶の玉になるのだろう

 占いといえば、先日の読売歌壇に花占いの歌があった。〈たんぽぽの花びらちぎり幼子が「好き大好き」とひとりつぶやく 仙台市 小野寺健二〉。「好き」と「嫌い」ではなく、「好き」と「大好き」が素敵(すてき)である

 解散時期はなお不透明だが、麻生首相は不手際と判断ミスを重ね、民主党の鳩山由紀夫代表も不可解な“故人献金”の傷をもつ身である。どちらがマシか、〈嫌い、大嫌い、嫌い、大嫌い…〉の花占いはつらい。

 7月4日付 編集手帳 読売新聞
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