7.28.2009

宮里藍選手が米ツアーで初優勝、次なる飛躍の扉をひらく日を楽しみに・・・ 編集手帳 八葉蓮華

 あらかじめ祝い、祝った通りの現実が訪れるように祈ることを「予(よ)祝(しゅく)」という。いわば、お祝いの予言である。今年3月の「読売歌壇」で、予祝の一首を読んだ。〈鍵穴とまがふ臍(ほぞ)みせ胆力のありかを示す宮里藍は 成田市 神郡一成〉

 女子ゴルフの宮里藍選手(24)がときに見せる“へそ出し”ルックを詠んでいる。おへそを鍵穴に見立てたところが歌の眼目で、「成程(なるほど)。精神一到何事かならざらん、の鍵穴だ」と、選者の歌人、小池光さんの評にある

 歌から4か月、宮里選手が米女子プロゴルフツアーで初優勝を飾った。米ツアーで日本人女子選手の快挙は福嶋晃子選手以来10年ぶり、24歳は日本人最年少である

 年来の夢に指先が触れた最後のパットでは、パターを握る手が激しく震えたという。この日はおへそこそ見せなかったが、〈胆力のありか〉を示す一打は予祝の歌そのままであったろう

 精神の鍵穴が次なる飛躍の扉をひらく日を楽しみにしている。…と言っても、見せてほしいわけではなくて、若い女性のおへそにもうろたえてしまう胆力のないオジサンとしては、シャツの下で差し支えない。

 7月28日付 編集手帳 読売新聞
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