「人間ドック」の呼び名を広めたのは読売新聞らしい。1954年(昭和29年)9月の紙面で「短期間入院特別健康精査」という厳(いか)めしい名前の取り組みを取材した記者が、「人間がドック入りするということだ」と紹介した
この記事に関係者は言い得て妙と膝(ひざ)を打ち、日本中に定着した――と人間ドックの生みの親の一人、大渡順二氏が自伝に記している。まだそう呼ばれる前の人間ドックが都内に開設されたのが55年前のきょう、7月12日だった
かねて政局をにらみつつ全身の健康チェックを頼みに来る政治家がいて、それも開設の背景にあったという。振り返れば、自由民主党の誕生へとつながる政界再編前夜である
当初から1年待ちの大盛況だったそうだ。永田町から、政局の神経戦に疲れた先生方の申し込みが相当あったと推察する。解散・総選挙が目前に迫った今は、さて…
人間も定期的に赤サビや青コケをかき落とすことが必要だ、と半世紀前の本紙記事は書いていた。人間を政治あるいは日本と言い換えてもいいだろう。きょうの都議選は、政治ドック、日本ドックの重要な予備検査になる。
7月12日付 編集手帳 読売新聞
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