活字離れの悩みは役所も一緒らしい。より多くの人に読んでもらおうと、40前後ある政府の白書の担当者が試行錯誤を続けている
今年の防衛白書は表紙に、著名な書道家、武田双雲氏の筆による題字「日本の防衛」を掲げた。例年は自衛隊の活動写真だったが、「マンネリ化している」という浜田防衛相の指摘で刷新した
本文も、「高校生にも読めるように」を心がけ、「趨勢(すうせい)」「真摯(しんし)に」といったお役所用語を極力排している。分かりやすさ優先か正確さか、文章表現をめぐる内閣法制局との論争があるとも聞く。5年前からは、より若い層向けに漫画版も出版している
防衛白書は、厚生労働白書や環境白書とともに人気が高い。それでも、インターネットの普及も影響し、一般向け売り上げは2004年の2万4900部をピークに、今は下降傾向にある
防衛白書がよく売れたのは、不幸にして軍事情勢が緊張した時だという。今年は、北朝鮮の核実験や弾道ミサイル発射が続いたが、より多くの人が日本の安全保障の「動向」を「真剣に」考える機会になるならば、活字離れに悩んでみる価値はあろう。
7月19日付 編集手帳 読売新聞
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