「イタチごっこ」は昔の子どもの遊びだ。広辞苑によれば、二人が互いに相手の手の甲をつねって自分の手をその上に載せながら、いたちごっこ、ねずみごっこ、と唱えて繰り返す
転じて、双方が同じ事を繰り返すばかりで無益なこと、を意味するようになった。だが、この言葉を振り込め詐欺と取り締まりの関係に用いると、卑劣な行為を楽しむがごとき犯人たちを、さらに増長させそうでよくない
株価の下落がニュースになれば、息子を名乗って「すぐ損失を弁済しなければならない」と訴える。社会保険庁の不祥事があれば「年金支給の手続きに必要です」などと言って、お金を振り込ませる。連中の手口はインフルエンザ・ウイルスのように変化(へんげ)する
最近はATMの警戒が厳しくなったと見るや、お金を直接受けとる手口が増えてきた。警察はこれを逆手に、職員の家族などにかかってきた電話を利用して「騙(だま)されたふり作戦」を展開中だ。さっそく犯人逮捕の成果を上げた
悪知恵に対抗するにはそれ以上の知恵が要る。子どもの遊びではなく、ウイルスとの戦いだ。撲滅するまで容赦は要らない。
2月8日付 編集手帳 読売新聞
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