大相撲の決まり手は「四十八手」と言われるが、次第に増えて現在は87手を数える。82手は勝者のかけた技、残る5手が敗者の自滅で「非技」という
〈勇み足〉や〈腰砕け〉は日常の会話にも使われる。バランスを崩した〈つき手〉〈つき膝(ひざ)〉、戦意なく後退して土俵を割る〈踏み出し〉と非技もいろいろだが、観客には興ざめの決まり手であることに変わりはない
野党に技をかけられたのならばまだしも、勝手にこけた首相の〈つき手〉で黒星を喫しては、閣僚や与党幹部が顔をしかめるのも分かる。本紙の世論調査で、麻生内閣の支持率が19・7%と2割を切った
麻生首相の郵政発言が響いたとみられている。小泉内閣で郵政民営化を決めたときに閣僚でいた人がこの期に及んで、「じつは私は反対だった」などと語る必要はどこにもなかった。首相は発言を修正したが、「閣僚の椅子(いす)に執心して信念を曲げた人」という印象をひと時でも国民に植えつけたのは痛手だろう
ふんどしならぬ口もとをきりりと締め直さねば、いずれ迎える総選挙の大一番で非技〈踏み出し〉の憂き目を見ないとも限らない。
2月12日付 編集手帳 読売新聞
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