2.23.2009

仕事に「生き甲斐」「お金」がなくなったら・・・ 編集手帳 八葉蓮華

 なぜ仕事をするのか――3人が答える。最初の若者は「お金のため」と言う。次の人は「生き甲斐(がい)だから」と。最後に、農業を営むおじいさんがしみじみと語る。「仕事は神聖なものだ」

 小学生の頃、道徳の授業で見た教育テレビの番組を今も覚えている。何十年かが過ぎ、第3の回答の達観には遠く及ばず、第1と第2の心境を行き来している

 国家公務員制度改革の行方が心配でならない。業界と癒着した天下りなどの特権や、非効率なお役所仕事を改めるのは当然としても、与野党が選挙目当てで官僚たたきを競い合うのには閉口する。優秀な人材が公務員にならず、官僚が仕事に生き甲斐を感じなくなったら、日本は沈没し、困るのは国民である

 近年、公務員人気は低落傾向にあった。その中では優秀な志望者が多く、「霞が関で独り勝ち」との評さえある外務省でもエリートが中途退職し、高給の民間企業に転職していると聞く

 麻生首相は「官僚は使いこなすもの」が持論だ。御説ごもっとも、たたくのでなく、上手に使うのが筋だろう。酒癖の悪い閣僚を使いこなせなかった人の御説ではあるが…。

2月23日付 編集手帳 読売新聞
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