2.16.2009

関心をひきつけ、見返りを引き出そうとする・・・ 編集手帳 八葉蓮華

 昨年8月に脳卒中を起こした、とされる北朝鮮の金正日総書記の体調について、米国のブレア国家情報長官が、「著しく回復し、主要な政策決定を下している」との分析評価を、議会に提出した

 このごろ盛んに「将軍さま」の写真が公表されているから、そうなのだろうと察してはいた。最高人民会議の代議員候補者に推戴(すいたい)され、国防委員長として軍首脳人事を決定するなど、最高権力者の地位に揺らぎはないようだ

 テポドン・ミサイルの発射準備を進めている、との物騒な情報も流れている。友邦イランが初の国産人工衛星を打ち上げるや、北朝鮮の党機関紙はすかさずエールを送った。こちらも間もなく続くという意思表示か

 米国の関心をひきつけ、見返りを引き出そうとする「求愛行動」に見えなくもない。熱い視線は、今日から日本を訪れるヒラリー・クリントン米国務長官に向いていよう

 ヒラリーさんの親友オルブライト元国務長官は、2000年に訪朝し、金総書記から大歓待を受けたが、何らの成果も得られなかった。ゆめ、北朝鮮には幻惑されぬよう、米国は厳しい姿勢を示してもらいたい。

2月16日付 編集手帳 読売新聞
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