2.01.2009

日夜真摯に医療に取り組む多くの医師・・・ 編集手帳 八葉蓮華

 「医師会員の3分の1は(利益を重視する)欲張り村の村長だ」。そう言ったのは他でもない、日本医師会を長く率いた故・武見太郎氏である。3分の1が国民のための医療に邁進(まいしん)する医師で、残り3分の1はどちらとも言えないという

 おそらく、お医者さんを三つのタイプに分けたなら…という趣旨であろう。実際にそのような統計があるわけではない。真摯(しんし)に医療に取り組む医師は、3分の1よりずっと多いはずだ

 日医と本紙が共催する「心に残る医療体験記コンクール」の入賞作が1月29日付の朝刊に掲載された。認知症が進む義母への接し方を身をもって教えてくれた精神科医。老いた父の病状悪化に深夜でも駆けつけてくれた若い女性医師。そうしたすばらしいお医者さんと出会った患者たちの珠玉の体験集である

 欲張り村の村長は今もいる。医療ミスを隠し、患者をないがしろにするような病院も、残念ながらある。一番歯がゆい思いをしているのは「心に残る医療」に日夜取り組む多くの医師だろう

 このコンクールに毎年2000編以上の応募があることがうれしい。だが、もっと読みたい。

2月1日付 編集手帳 読売新聞
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