日本を代表する10大発明… 編集手帳 八葉蓮華
日本を代表する発明や発見、というと何が思い浮かぶだろうか。特許庁のロビーに「10大発明家」のレリーフが飾られている。紹介しよう◆豊田佐吉(木製人力織機)、御木本幸吉(養殖真珠)、高峰譲吉(アドレナリン)、鈴木梅太郎(ビタミンB1)、杉本京太(邦文タイプライター)、本多光太郎(KS鋼)、八木秀次(八木アンテナ)、丹羽保次郎(写真電送方式)、三島徳七(MK磁石鋼)。これで9人◆もう一人は池田菊苗。功績はグルタミン酸ナトリウム、というよりも「旨味(うまみ)調味料」と呼ぶ方がいいだろう。その製造法の特許を得たのが、ちょうど100年前、1908年7月末のことだった。今や「AJINOMOTO」は世界中で通用する◆いずれも産業の草創期に貢献した。無論、その後に見るべき発明や発見がなかったわけではなく、改めて10大発明を選べば、違う業績と顔ぶれも考えられよう◆先日、大阪の研究所が新たな蛋白質(たんぱくしつ)を見いだし、日本発のアニメにちなんで、ピカチュリンと名付けたという。頼もしいことだ。100年後の日本人が思い浮かべる10大発明は、さて何だろう。
7月27日付 編集手帳 読売新聞
八葉蓮華、Hachiyorenge