10.31.2008

家計の消費がどれだけ上向くか・・・ 編集手帳 八葉蓮華

家計の消費がどれだけ上向くか・・・ 編集手帳 八葉蓮華
明るさの単位には二つある。光源の明るさ、光度の単位を「カンデラ」といい、光源からそこに届いた光の量、照度の単位を「ルクス」という◆きのう、麻生首相が記者会見をして追加景気対策を発表した。国費で約5兆円、事業費にして約27兆円は、光源のカンデラとしては一応の数字だろう。暮らしの隅々に光がどれだけ届き、照らすか、ルクスが問われる◆柱のひとつに、2兆円規模の「定額給付金」がある。4人家族の世帯で6万円ほどの額になるという。選挙目当てのバラマキではないか、という疑念の声も一部で聞かれる◆光に影はつきもので、財源をあまねく分かとうとすればバラマキと批判され、重点配分して特定の業界が潤えばエコヒイキと批判される。景気対策のいつも悩ましいところで、無責任なバラマキか否かは照らされた家計の消費がどれだけ上向くか、ルクスで判定するほかあるまい◆カンデラとは、ラテン語で「ろうそく」の意味という。米国発の金融危機を首相は未曽有の大災害、百年に一度の暴風雨にたとえた。光源のろうそくを風に吹き消されぬよう、政府には寝ずの番が要る。

10月31日付 編集手帳 読売新聞

八葉蓮華、Hachiyorenge