12.08.2008

人口流出に歯止めをかけることは切実な課題だ・・・ 編集手帳 八葉蓮華

人口流出に歯止めをかけることは切実な課題だ・・・ 編集手帳 八葉蓮華
 故郷に帰るたびに、寒々しい光景を目にする。駅前近くで虫食い状に広がる駐車場や、入居者のいない老朽ビル…。やむを得ぬ事情で事業をやめ、退去した人も多かろう◆都会で暮らす自らにも責任の一端があると承知のうえで、心が痛む。三大都市圏以外の地方圏の人口は今後30年間で1200万人も減少するという。地方にとって人口流出に歯止めをかけることは切実な課題だ◆一つの対策として、総務省は定住自立圏構想を進めている。「中心市」と周辺市町村が協定を結び、産業振興や医療、交通、観光などで手を携える。中心市に圏域全体に必要な都市機能を整え、国が支援する。青森県八戸市、長野県飯田市など26自治体が先行実施団体に指定された◆企業誘致や農産品の地域ブランド育成に各市町村が協力する。地域の拠点病院から周辺自治体の診療所に医師を派遣する。いかに若者を地元にとどめ、中高年を都会からUターンさせるか◆もちろん特効薬などない。試行錯誤を重ねつつ様々なアイデアの具体化に努めねばなるまい。国の権限や職員、財源を自治体に移す地方分権も、その一助となろう。

12月8日付 編集手帳 読売新聞

八葉蓮華、Hachiyorenge