12.22.2008

反米感情の高まりをも引き継がなければならない ・・・ 編集手帳 八葉蓮華

反米感情の高まりをも引き継がなければならない ・・・ 編集手帳 八葉蓮華
 中国の古典「淮南子」に見える「足を削って履(くつ)に適す」は、本末転倒を形容する成句として知られる。確かに、靴のサイズに合わせて足を痛めつけるのでは、筋が通らない◆だが米国発の金融危機は、どうだろう。成長を牽引(けんいん)する「足」とみなされてきた金融工学が、ひどいまやかしであったことが露呈した。常識という「靴」に、足の方を合わせることはできなかったものか◆任期ひと月足らずとなったブッシュ米大統領は外交面でも課題を残した。対テロ戦争の主戦場となったイラクもアフガニスタンも国家再建にはほど遠い。オバマ次期政権は、国際社会における反米感情の高まりをも引き継がなければならない◆嫌われつつ外交成果を上げるのは、やはり困難である。収容所での拘束者虐待事件などに象徴される、時に大きい靴で踏みにじるように見えたやり方も、いらざる反感を招いた◆記者会見の席上、イラク人記者がブッシュ大統領に靴を投げつけた。アラブ社会で最大の侮辱とされる行為に大統領は靴のサイズに言及する余裕を見せたが、機転の利いた冗談よりも、もっと別の言葉を聞きたかった。

12月22日付 編集手帳 読売新聞

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