レモンは果肉が傷んでいても外見は新鮮で、手に取ったくらいでは見抜けない。そのためだろう、経済学では見かけは立派だが中身の悪い欠陥品を「レモン」と呼ぶ。ちなみに外見で品質がわかるものは「ピーチ」だ
経済学のテキストは欠陥中古車を例にとり「レモン市場」の行く末を説明する。客の多くは性能を見抜けず、ピカピカだが中身はポンコツの安物を買う。当然、故障が多く苦情が増え、やがて中古車市場そのものが衰退してしまう…
焦げ付きそうな住宅融資を金融工学で有利な金融商品に変身させたサブプライムローン問題は典型だ。欧米の金融機関が損失を抱え、金融市場は危機に陥った。中身が隠された欠陥品は、やはり市場の天敵だった
日本酒、ハマグリ、フグ、ウナギ…。和食のメニューではない。最近、材料や産地の偽装が発覚した「レモン」の仲間だ。近ごろの短命政権も見かけ倒しの点では大差ないかもしれない
そんな「レモン内閣」は願い下げだが、自民党と民主党は、政治献金をめぐる疑惑でどちらもレモンのにおいがしてきた。おいしそうな「桃」しか食べたくないのに。
4月12日付 編集手帳 読売新聞
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