4.30.2009

「メタボリックシンドローム」やせるほうにも注意が要るらしい・・・ 編集手帳 八葉蓮華

 短歌のようで短歌でない佐藤延重さんの「一行詩歌閑話休題」(角川書店)を読んでいて、身につまされた一首がある。〈メタボリックシンドロームと告げられる 目障りだから死ねときこえた〉

 佐藤さんにお会いしたことはないが、似たような体形のお方かと勝手に推量している。不吉な聞き違えをする心持ちは同憂の身としてうなずけるが、何日か前に読んだ記事によれば、やせるほうにも注意が要るらしい

 厚生労働省の研究班が約9万人を平均13年間にわたって追跡調査したところ、成人後に5キロ以上体重が減った中高年は男女とも、死亡する危険が1・4倍ほど高かった。体重増加と死亡率の関係は認められなかったという

 病気やダイエットの激やせなどは除かれており、体重減少で死亡率の上がる原因はまだ明らかでない。やせて免疫力が落ち、感染症などにかかりやすくなることなどが考えられるという

 とはいえ、太りすぎて健康にいいはずもない。その記事を都合よく不摂生の口実にし、我田引水ならぬ我田引酒に走るなかれ。少しほっとしているらしい我が身に、きつく言い聞かせておく。

4月30日付 編集手帳 読売新聞
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