〈お隣は留守よと言えるお付き合い〉。小社が毎年募集している防犯川柳の入賞作にあった。ご近所との付き合いは、ときに鬱陶(うっとう)しいこともあるけれど、留守にしていても不審者をたちまち誰何(すいか)してくれるから心強い
防犯ももちろんだが、一人暮らしのお年寄りには、体の異変をすばやく察知してくれるお隣さんがいれば、ありがたいだろう。都会のマンションなどではむずかしい
東京の中心にある千代田区で先週から、区役所と新聞各社の販売所が連携して「単身高齢者見守りサービス」が始まった。販売所に告げておけば、3日分の新聞がポストに溜(た)まると区に連絡が入り、安否が確認される
こうした取り組みは全国各地で広がりつつある。千代田区のような公的仕組みがなくても、新聞配達員は常にかすかな異変も見逃さないようにと心がけている。手前味(み)噌(そ)で恐縮だが、家の中で苦しんでいるお年寄りを助けた実例が数多くある
毎日、同じ時刻に新聞を届けている配達員だからこそ気づくことも多い。この時代に得難くなった「お隣さん」の役目を、少しでも肩代わりできればうれしいことだ。
4月26日付 編集手帳 読売新聞
創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge