「米国の国花は何?」。国土が広く多様な植生の国で、特定の国花はなかったような…。「答えはカーネーション(クルマ国家)」――阿川弘之さんの随筆集「エレガントな象」(文芸春秋)で教わったなぞなぞである
車なくしては暮らせない生活様式が茎ならば、自動車産業の王座に君臨してきたゼネラル・モーターズ(GM)は花びらであったろう。GMが連邦破産法の適用を申請し、経営破綻(はたん)した
事実上の国有企業となって再建の道を歩むという。元社長でアイゼンハワー政権の国防長官だったチャールズ・ウィルソン氏は「GMに良いことは我が国に良いことだ」という有名な言葉を残したが、国家と企業の共栄を誇示したそのせりふもいまでは、共倒れが怖くて切るに切れない腐れ縁の嘆きに聞こえる
賃金の安い海外で生産を増やせば、「外国の労働者を税金で養うのか」と世間の批判を浴びる。さりとて、高賃金の国内生産にばかり頼れば競争力は保てない。親方日の丸ならぬ“親方星条旗”にも泣きどころはある
返り咲きはいつごろか、一度散ったカーネーションの再開花予想はむずかしい。
6月2日付 編集手帳 読売新聞
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