6.24.2009

幸せに暮らすか、枯れて落ちるか「道行き」の結末を書くのは有権者・・・ 編集手帳 八葉蓮華

 柳家三亀松がよく高座で聴かせた都々逸がある。〈目から火の出る所帯を持てど/火事さえ出さなきゃ水入らず〉。家計は火の車でも水入らずだよ――と、のろけている

 芝居で駆け落ちの場面を「道行き」というが、都々逸のご両人は幸せになったようである。支持率に目から火を出しつつも、手に手を取って「社長続投」の道行きに旅立つ麻生太郎、西川善文両氏の場合はどうだろう

 「かんぽの宿」という国民共有の財産を二束三文で叩(たた)き売ろうとした日本郵政のでたらめを“未遂”で食い止め、その経営責任を厳しく問うた鳩山邦夫前総務相は大臣の職を追われている。対する西川社長は、30%・3か月の報酬返上で放免という

 推定3000万円の年収が200万円ほど減るだけの話で、国民の財産が粗末に扱われることは首相にとってその程度の不始末であるらしい。税金を納める側としては心強い限りである

 こういう都々逸もある。〈こぼれ松葉をあれ見やしゃんせ/枯れて落ちてもふたり連れ〉。水入らずで幸せに暮らすか、ともども枯れて落ちるか、道行きの結末に脚本を書くのは有権者である。

 6月24日付 編集手帳 読売新聞
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