6.05.2009

民営化の象徴「三顧の礼」経営責任の説明もなしに再任の流れ・・・ 編集手帳 八葉蓮華

 「横」というのはかわいそうな字で、横領、横流し、横恋慕…好ましからざる言葉に縁がある。日本郵政の人事をめぐる鳩山邦夫総務相と西川善文社長の確執も、「横」の押しつけ合いと言えなくもない

 重い不祥事にけじめをつけないまま続投の意思を固めた西川氏を鳩山氏は「横暴」の人と見、認可権限を盾に人事に口を差し挟む鳩山氏を西川氏は「横車」の押し手と見ているのだろう

 経営責任の説明もなしに再任の流れが出来上がったのは多くの国民に納得のいきかねるところで、筋論では鳩山氏の押す車に相応の理がある

 与党内の続投擁護論も分かりにくい。「三顧の礼で迎えた人をクビにできない」という。神聖にして侵すべからざる経営者というのも珍しい。「“民営化の象徴”西川氏が去れば、民営化路線が崩壊してしまう」という。一人転べば皆転ぶとは、何とも頼りがいのある路線である

 鳩山氏は大臣の職を賭す覚悟という。麻生首相はこれまで、「総務相が適切に判断すると思う」と涼しい顔をしていた。混迷の根は「横暴」や「横車」ではなく、首相の「横着」にあったのかも知れない。

 6月5日付 編集手帳 読売新聞
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