雨や風など大気に生じる現象を総称して「気象」という。その名を冠した気象庁が、大気現象ではない地震観測をも手がけるようになったのには、いわれがある
明治新政府で最初に気象観測にあたったのは、もともと新橋―横浜間に鉄道を建設するために雇われた英国人の技師である。地震で測量点にずれが生じてはいけないと、イタリア製の地震計を持ち込んで東京気象台に据えたのが始まりという
気象と地震の本格観測が同時に産声を上げたのも地震国ゆえだろう。1875年(明治8年)6月1日のことで、きょうは気象記念日である
いまでは地震計の数も4000を超えて世界第一の監視網を誇り、先日の北朝鮮の地下核実験でも震源を15分でぴたりと割り出した。3年前の最初の核実験では確認に1時間半もかかったことを思えば、腕前の向上は心強い限りだが、天災ではなく人災で振り回されるのはやはり腹立たしい
北の技師たちはすでに各種の観測データを分析し、「3度目」に向けた準備を始めているのかも知れない。監視網とともに、国際社会との途方もない“ずれ”を直す包囲網が要る。
6月1日付 編集手帳 読売新聞
創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge